大会のbulletin(広報)とルールブックは別に公開されています。 特に2025年上海で行われるWDSC(世界ドローンサッカー選手権)は これまでのルールブックとは別に作られています。
2025 FAI World Drone Soccer Championshipsにおける主なルール変更点と特徴
- 大会の開催環境が「屋内」に限定されます。
- F9ドローンスポーツ規定では、ドローンサッカーイベントは屋内でも屋外でも開催可能とされていますが、WDSC大会ルールでは、F9A-AおよびF9A-Bサブクラスのすべてのイベントが屋内で開催されることが明記されています。屋外の風などの環境要因を考慮する必要がなく、安定した競技環境が提供されます。
- チームの「アクティブプレイヤー数」が固定されます。
- F9ドローンスポーツ規定では、アクティブプレイヤーの数を主催者が「3名から5名」の間で定義できるとされていますが、WDSC大会ルールでは、F9A-Aサブクラスでは1チームあたり5名、F9A-Bサブクラスでは3名のアクティブプレイヤーで試合を行うことが義務付けられています。
- これに伴い、登録可能な最大プレイヤー数も固定されます。F9A-Aチームはアクティブプレイヤー5名に加えて2名の追加プレイヤーで最大7名、F9A-Bチームはアクティブプレイヤー3名に加えて2名の追加プレイヤーで最大5名となります。チームマネージャーやコーチ、ヘルパー、サポーターはチームメンバーとは見なされません。
- 試合中に準備できる「スペアドローンボールの数」に制限があります。
- F9ドローンスポーツ規定では、各アクティブプレイヤーが最大2機のスペアドローンボールを用意できるとされていますが、WDSC大会ルールでは、各チーム全体として、試合中に準備できるスペアドローンボールは最大2機までと規定されています。これは、試合中にすぐに使用できるドローンの総数に直接影響するため、戦略立案において非常に重要な変更点です。スペアドローンボールは、飛行に使用されるまでバッテリーパックを装着してはいけません。
- 試合の「タイブレーク(同点決勝)手順」が明確化されます。
- F9ドローンスポーツ規定では、試合が同点に終わった場合の決定方法は主催者に委ねられていますが、WDSC大会ルールでは、3セット終了時点で同点の場合、まず各チーム3回のペナルティショットを行い、それでも決着がつかない場合は、サドンデス方式(ゴールデンゴール)の延長戦で勝敗を決定すると明記されています。これは、大会での突然死を防ぎ、公平性を保つための重要なルールです。
- 「公式の電子システム」の使用が義務付けられます。
- WDSC大会ルールでは、試合中の残り時間を表示する「電子計時システム」や、現在の得点と獲得セット数を表示する「電子スコアリングシステム」の使用が義務付けられています。
- また、審判の判断が疑わしい場合や抗議があった場合のレビューには、「ビデオレコーダーシステム」による公式の記録のみが使用されます。選手や第三者が撮影した記録は一切考慮されません。これは、公正な裁定を保証するための重要な措置です。
- 「審判の役割と最終決定権」が明確化されます。
- F9ドローンスポーツ規定では、ゴールの決定はスコアリングレフェリーに委ねられている部分がありますが、WDSC大会ルールでは、得点審判(Scoring Referee)がゴールを判定する責任を持つとしつつも、最終的なルールの適用権限はマッチレフェリー(Match Referee)にあり、マッチレフェリーが判断を覆す場合でも、その決定が優先されると明記されています。選手としては、マッチレフェリーの指示が最終であることを常に認識しておく必要があります。
- 「イエローカードとレッドカード」の適用が「違反した選手個人」に対して行われます。
- これは以前の会話でも触れましたが、F9ドローンスポーツ規定の2023年改訂で導入された重要な変更点であり、WDSC大会ルールにも完全に反映されています。イエローカードは特定の違反行為を行った選手個人に与えられ、その選手は当該セットから退場となります。レッドカードは、より重大な違反行為を行った選手個人に与えられ、その選手は当該試合の残り時間から退場となり、チームは残りのドローンで試合を続行します。この変更により、個々の選手の責任がより明確になりました。
- ストライカーが失格した場合の「新ストライカーの任命」に関する規定。
- ストライカーが飛行不能になった場合、チームキャプテンはタイムアウトを要求でき、新たなアクティブプレイヤーをストライカーに任命できます。この新ストライカーの任命は、1セットにつき1回のみと制限されています。
- 「世界選手権ならではの表彰規定」があります。
- WDSC大会ルールには、優勝チームには「FAIドローンサッカー世界チャンピオン」の称号が授与され、上位3位までのチームのチームマネージャーと全プレイヤーにFAIメダルとディプロマが授与されることが明記されています。これは、世界選手権に特有の栄誉です。
共通する主要なルール(WDSC大会ルールとF9ドローンスポーツ規定でほぼ同じ):
- ドローンボールの仕様:重量(F9A-Aは最大1.2kg、F9A-Bは最大300g)、サイズ、保護フレーム(プラスチックまたは複合材料で金属は不可)、モーター数(最大4基)、バッテリー電圧(F9A-Aは最大6S、F9A-Bは最大4S、セルあたり4.25V以下)、プロペラ径、LEDライトの取り付け仕様とストライカーのドローンボールの識別色 など、ほとんどの機体に関する技術仕様は共通です。
- ペナルティの種類:ペナルティショット、警告、イエローカード、レッドカードの種類とその対象となる行為の多くは共通です。
- 競技フィールドの基本構造:飛行ゾーン、保護ケージの推奨サイズ、プレイヤーエリア、ゴールリングの形状、寸法、設置位置 など、基本的なフィールド設計は共通です。
- 試合開始と終了のプロセス:各セットの開始手順(「Arm your quads」のアナウンス、3~5秒後の開始信号)、セット終了の合図、ゴールの有効条件、得点後の自陣への速やかな帰還義務 など、試合の基本的な流れは共通です。
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