FAI 2025 世界ドローンサッカー選手権(2025 WDSC)概要
2025年11月、中国・上海にてFAI(国際航空連盟)主催による初のカテゴリー1世界大会 「FAI 2025 世界ドローンサッカー選手権(WDSC)」が開催されました。 世界18カ国から297名が参加し、そのうち193名が選手として登録されました。 特筆すべき点として、未成年選手が138名と全体の約7割を占め、ユース世代が中心となった大会でした。
FAI公式による大会総括
FAI公式は、本大会を「ドローンサッカーにとって非常に印象的なデビュー」と位置付けています。 決勝戦では若い選手たちが高い集中力と精神力を見せ、3日間を通してスキル、チームワーク、競技としての完成度の高さが際立ったと評価されました。 また、主催者および開催地である上海の運営体制に対しても深い感謝が述べられています。
各国・地域代表の報告
日本
日本からは複数チームが出場し、FAI世界選手権という初の舞台に挑みました。フライトボールの情報広場にもチーム登録されている 三河ドルフィンズはサブクラスA(40cm)に出場し、予選敗退ながら勝ち点6を獲得しています。 この結果は、ドイツ、香港、マレーシア、スペインと同水準であり、 世界大会における日本チームの基礎的な競争力を示すものとなりました。
また群馬CDSはサブクラスB(20cm)で勝ち点12を獲得し、ノックアウトステージに進出、 最終的にベスト16という成果を残しました。 世界レベルのスピードと戦術を経験したことは、 今後の日本国内リーグや育成環境に大きな影響を与えると考えられます。
中華人民共和国
開催国である中国は、本大会において圧倒的な存在感を示しました。 サブクラスA・Bの両カテゴリーで1位・2位を独占し、 決勝トーナメントにおいても試合運びの完成度が際立っています。
出場選手の多くは10代で構成されており、 体系化された育成プログラムと競技経験の蓄積が結果に直結した形です。 中国は今後の世界ドローンサッカー競技における 基準点となる存在になったと言えるでしょう。
韓国
ドローンサッカー発祥国である韓国は、サブクラスA・Bともに3位を獲得しました。 優勝には届かなかったものの、両カテゴリーで安定して表彰台を確保しています。
競技理解の深さやチーム連携の完成度は依然として高く、 各国が急速にレベルアップする中でも強固な基盤を示しました。 韓国は引き続き、競技文化と技術の両面で重要な役割を担う国です。
トルコ
トルコ代表はサブクラスAで勝ち点9、サブクラスBで勝ち点6を獲得しました。 教育機関と企業が連携したチーム体制が特徴で、 若手選手の国際経験を重視した参加となっています。
結果以上に、世界大会において安定した試合運びを見せた点が評価され、 国内での競技普及と育成の加速が期待されています。
カザフスタン
カザフスタン代表はサブクラスAで予選グループを首位通過し、ベスト16に進出しました。 世界大会で初めてトップ5圏内に入ったことは、 同国におけるドローンサッカーの大きな成果とされています。
戦術面での成熟度と選手の対応力が評価され、 中央アジア地域における新たな競技拠点として注目を集めています。
ドイツ
ドイツはサブクラスBにおいて、ヨーロッパ勢最高位となる総合5位を記録しました。 男女混成チームでの出場や育成型の運営体制が特徴です。
競技成績だけでなく、持続可能なチーム作りと 国内リーグへの波及効果が評価されています。 ヨーロッパにおける競技拡大の中核的存在といえるでしょう。
UAE
UAEはサブクラスBのみで世界選手権に初出場しました。 勝ち点獲得には至らなかったものの、 FAI世界大会への参加そのものが大きな前進と位置付けられています。
中東地域での競技普及を見据えた第一歩として、 今後の継続的な参戦が期待されます。
オーストラリア
オーストラリアはICC STEM主導のもと、初めて世界選手権に参加しました。 ユース世代を中心としたチーム構成で、 教育プログラムと競技を結びつけた取り組みが特徴です。
結果以上に、国際舞台を経験した意義は大きく、 今後の国内展開に向けた重要な足がかりとなりました。
ブルガリア
ブルガリアはサブクラスBに出場し、初の世界選手権を経験しました。 勝ち点は得られなかったものの、 国として国際競技の舞台に立った意義は非常に大きいとされています。
今後の育成環境整備と国際交流の進展が期待される参加となりました。
台湾
台湾はサブクラスA・Bの両カテゴリーで予選を突破しました。 サブクラスAでは世界トップ8、Bではベスト16という安定した結果を残しています。
平均年齢14歳という若い選手団ながら、 高い戦術理解と集中力を発揮し、国際的にも評価を受けました。 アジア地域における有力勢力の一角として存在感を示しています。
協賛メーカー
本大会では、ドローンサッカー競技を支える複数のメーカーが協賛・技術支援を行いました。 電源、送信機、航法技術など、競技の根幹を担う分野で国際的な企業が関与しています。
ボランティア
大会運営は上海体育大学の学生ボランティア57名によって支えられました。 早朝から夜遅くまで運営を担い、初開催となる世界選手権を円滑に進行させています。
https://m.163.com/dy/article/KF86QOR40530S17O.html
メディア露出・国際的な反響
2025 WDSCは競技関係者のみならず、各国の一般メディアからも広く取り上げられました。 ドローンサッカーが「未来のテクノロジースポーツ」として国際的に認知され始めていることを示しています。
スペイン語圏メディア(Tampa Hoy)
米国のスペイン語話者向けニュース番組「Tampa Hoy」では、 世界大会としての規模と革新性に注目し、ドローンサッカーを新世代スポーツとして紹介しました。
トルコ(Hürriyet)
トルコの大手紙Hürriyetは、同国初の代表チーム誕生と世界大会出場を大きく報道しました。 教育機関と結びついたチーム運営が特徴として紹介され、STEM教育との親和性が強調されています。
カザフスタン(NEWTIMES)
カザフスタンのメディアでは、代表チームが世界トップ5に食い込んだ点を高く評価しました。 ドローンサッカーが国内スポーツとして成長段階に入ったことを示す象徴的な結果として扱われています。
デンマーク(DRONES)
欧州専門メディア「DRONES」は、中国の圧倒的な強さとともに、 ヨーロッパ勢の健闘を評価し、今後の勢力図の変化に言及しました。
まとめ
2025 WDSCは、FAI主催による初の本格的な世界大会として、競技レベル・参加規模・国際的広がりのいずれにおいても大きな成果を残しました。 特にユース世代の比率が高く、各国が育成と競技力強化に本格的に取り組んでいることが明確になった大会です。 今後のルール整備や国際大会の継続開催により、ドローンサッカーはさらに加速していくことが期待されます。
