Fédération Aéronautique Internationale(国際航空連盟)が策定する競技規則。 英語です。 2024年は暫定ルールでしたが2025年から正式ルールになりました。 FIDAのルールと異なる点もあるので注意が必要です。 変更点を簡単にまとめると以下のようになります (FPVドローンレースも含みます)
1. FAI F9A ドローンサッカークラス
ドローンサッカーは、ラジオコントロールのドローン飛行とサッカーを組み合わせたチームスポーツです。そのルールは、近年大きく進化しました。
1.1 F9Aクラスの正式導入
最も根本的な変更は、ドローンサッカー(F9A)のルールが2019年5月1日付けで「F9A仮設クラス」として正式に導入されたことです。これにより、ドローンサッカーがFAIスポーツコードの一部となりました。
1.2 サブクラスの導入と機体仕様の多様化
- 2020年1月1日付けで、F9A-A(直径400mm)とF9A-B(直径200mm)の2つのサブクラスが導入されました。これにより、異なるサイズのドローンボールに対応する詳細なルールが設けられました。
- F9A-Bのドローンボールの最大重量は、2021年1月1日付けで200gから300gに増加しました。
- F9A-Bのバッテリーパックの最大許容電圧が、2023年1月1日付けで3Sから4Sに拡張されました。
1.3 ドローンボールの保護フレームとLEDライト
2024年1月1日付けで、ドローンボールを囲む球状の保護フレームの材質がプラスチックまたは複合材料に限定され、金属は禁止されました。
2024年1月1日付けで、各チームのドローンボールを明確に識別するためのLEDストリップの具体的な仕様が導入されました。チームには赤または青の色が割り当てられ、ストライカー(得点するプレイヤー)のドローンボールには、チームカラーとは異なる色(例えば、赤チームのストライカーは青)を使用する必要があるとされています。また、ストライカーのドローンボールの識別をさらに容易にするために、底部にリボンや薄い「旗」を取り付けることを主催者が要求できる可能性があります。
1.4 チームと選手の構成
2024年1月1日付けで、チームの構成に関する規定が明確化され、チームはアクティブな選手のみで構成され、コーチやヘルパーはチームメンバーとは見なされないとされました。
最大登録選手数は、アクティブな選手の数に2名の追加選手を加えた数となりました。
1.5 試合の運営と審判の役割の明確化
2024年1月1日付けで、ゴールの最終的な判定責任は、以前の主審から得点審判(Scoring Referee)に移管されました。これに伴い、以前「アシスタントレフェリー」と呼ばれていた役職が「得点審判」に名称変更され、試合ごとに2名任命することが義務付けられました。
ストライカーが得点した後、チームの全アクティブプレイヤーが速やかに自陣の半分に戻る必要があり、このルールに違反した場合にはペナルティショットが与えられるという詳細な手順が加えられました。
1.6 ペナルティシステムの変更
2023年1月1日付けで、イエローカードとレッドカードの適用が、チーム全体ではなく、違反行為を行った特定の選手に対して行われるように変更されました。イエローカードを受けた選手は当該セットの残り時間から退場し、チームは残りの選手で続行します。レッドカードを受けた選手は当該試合の残り時間から退場し、チームはドローンが1機少ない状態で試合を続行します。
ペナルティショットは、セットの終わりに残りのバッテリーで行うことが可能であると、2023年1月1日付けで導入されました。
2. FAI F9U ドローンレースクラス
ドローンレースのルールも、競技の洗練と公平性の向上を目指して継続的に更新されています。
2.1 クラス名称の変更と公式クラスへの昇格
2019年1月1日付けで、クラス名称が「F3U」から「F9U ドローンレース」に変更されました。
2025年5月1日付けで、F9Uクラスは「暫定クラス」から「公式クラス」に昇格しました。
2.2 ピットモードの義務化
2025年5月1日付けで、モデルにピットモード(映像送信出力を切断する機能)の搭載が義務付けられました。これは、墜落時などに他の競合への映像干渉を防ぐための重要な安全対策です。
2.3 VTX(映像送信機)の出力制限と対応
2025年5月1日付けで、映像送信機の最大出力は25 mWに厳しく制限され、違反した場合はイベントからの失格を含む罰則が科される可能性があります。
2024年1月1日付けで、主催者が使用するビデオ受信システムは、アナログとデジタルの両方のビデオ送信機に対応する必要があるとされました。
2.4 サーキットデザインの変更
2025年5月1日付けで、「オープンループ」のサーキットオプションが廃止され、「3周を完了するクローズドループ」のみが公式に認められるようになりました。また、スタート後の衝突リスクを最小限に抑えるため、スタートラインから最初のゲートまでの間に60度から120度のターンを設けることが推奨されるようになりました。
2.5 時間計測の厳格化
2025年5月1日付けで、手動による時間計測が廃止され、電子的なタイミングシステムが義務付けられました。また、完了しなかった周回は結果に貢献しないことが明確化されました。
2.6 再スタートと個別の再飛行
2025年5月1日付けで、エリミネーションステージと決勝ステージにおいて、レース全体の再スタートが可能となりました(最初のゲート前の空中衝突、重大な安全問題など)。
一方、個別の再飛行(Reflight)は、2023年1月1日付けで予選ステージのみに制限されました。
2.7 最大参加機数の規定
2024年1月1日付けで、1レースあたりの最大参加機数が4機に義務付けられました(ただし、予選ラウンドでは技術的に可能な場合に限り6機の場合もあります)。
2.8 審判体制の強化
2023年1月1日付けで、レースディレクターという新しい役職が追加され、レースの準備、運営、監視の責任を負うことになりました。
2.9 プロペラ保護の許可
2020年1月1日付けで、「プロペラ保護装置は禁止」という規定が削除されました。これにより、保護装置の使用が認められるようになりました。
これらの変更点は、ドローン競技が成熟し、安全性、公平性、そして観戦者にとっての分かりやすさを向上させるために、継続的にルールが改定されていることを示しています。特に、ドローンサッカーが新しい競技として確立され、そのルールが詳細に定義されてきた点が、以前の状況と比べた大きな違いと言えるでしょう。
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