世界中で注目を集める新世代スポーツ「ドローンサッカー」。韓国発祥のこの競技は、いまや52か国以上が参加する国際大会にまで成長し、2025年のワールドカップでは32の国と地域から2,500人以上の選手が参加予定です。本記事では、香港チームの取り組みや競技の仕組み、教育的・社会的意義について紹介します。なお、今回の記事は香港の公共放送局RTHKのラジオ番組「Back Chat」での会話をもとにしています。
詳細は上記ラジオ番組のサイトで再生ボタンを押してご視聴ください。
登場人物と所属
- Anna Chow(アンナ・チョウ) : Intangible Cultural Heritage(ICH)代表。香港チームのオーガナイザーであり、香港初の国際公認ドローンサッカー審判。
- Joshua Chu(ジョシュア・チュー) : 香港Web3協会共同代表。ドローンサッカーと都市の低高度経済の関連についてコメント。
- Rainbow(レインボー) : 番組進行役のひとり。ドローンサッカーの概念に驚きを示しつつ、質問を投げかける。
- 番組ホスト陣 : RTHKのラジオ番組「Back Chat」の司会者たち。AnnaとJoshuaをゲストに迎え、ドローンサッカーの魅力や社会的意義を紹介。
ドローンサッカーとは?
ドローンサッカーは、直径約20cmほどの球形ガードで覆われたドローンを用いて行うスポーツです。1チーム5名で構成され、そのうち1機のみが「ストライカー」として相手ゴールリングを通過させ得点できます。他の機体は防御やサポートに回り、3分間のセットを複数戦って勝敗を競います。競技はネットで囲まれた「スカイフェンス」内で行われ、安全性も確保されています。
香港チームの挑戦とAnna Chowの役割
香港からは、文化とテクノロジーを融合させた活動を行うIntangible Cultural Heritage(ICH)の代表、Anna Chow氏が中心となってチーム編成を進めています。彼女は香港初の国際公認ドローンサッカー審判でもあり、ルールの普及や公平な試合運営に尽力しています。
チーム選考は公開形式で進められ、学生やNGO関係者など幅広い層に門戸を開放。さらにスポンサー支援により、経済的なハードルを下げ、障害者や車椅子利用者を含め多様な参加者を迎えることを目指しています。
教育と技術育成の側面
Joshua Chu氏はインタビューの中で、ドローンサッカーは単なる娯楽競技にとどまらず、ドローン操縦技術を安全に学べる教育的な価値を持つと説明しました。特に香港のような過密都市において、衝突回避や低高度運用の訓練は将来的なドローン産業に直結します。
実際、ICHは学校や地域団体と連携し、子どもから大人までが手軽に操縦体験できる環境を整備。最年少では8歳のプレイヤーも活躍しており、ゲーム感覚で技術習得が可能です。
国際的な広がりと将来性
競技は韓国を中心に、中国、日本、シンガポールなどアジアで強豪国が台頭しています。欧米での普及はこれからですが、急速に注目度が高まっています。
さらに、今後はeスポーツとの連携やAIを用いた練習システムの導入、スポンサーシップの拡大によって発展が期待されます。IOC(国際オリンピック委員会)種目への採用が視野に入る可能性もあり、競技人口の増加と社会的認知が進めば「次世代オリンピックスポーツ」としての地位を築く日も近いかもしれません。
安全性とルール
機体は全て統一規格のドローンを使用するため、公平性が担保されています。また、試合中のAI補助は禁止され、必ず人間の操縦者が操作します。競技場は8m×4m×3m程度のスカイフェンスで覆われ、観客や選手への安全配慮も徹底されています。
さらに審判制度が確立されており、違反行為にはイエローカードやレッドカードの概念も導入される予定です。
賞金と大会規模
今回のワールドカップでは総額2万ドル(約300万円)の賞金が用意され、ナショナルチームとクラブチームの両部門で競技が行われます。国際的な注目度は年々高まっており、スポンサーシップやメディア露出の拡大によって競技の発展が加速しています。
まとめ
ドローンサッカーは、単なるスポーツの枠を超え、教育・産業・文化を横断する新たな社会的現象となりつつあります。香港チームの挑戦は、地域の若者や市民に新しい可能性を開き、また世界大会を通じて国際的な交流を促進する試みでもあります。
今後、ドローンサッカーが国際的にどのような進化を遂げるか、そしてオリンピック競技に加わる日が来るのか、大いに注目されます。
参考:RTHK(香港電台)とは
RTHK(香港電台)は、香港の公共放送局で、ニュース、教育、文化、エンターテインメントなど幅広い番組を制作・放送しています。今回紹介した「Back Chat」は、社会・国際・文化など幅広いテーマを扱う討論形式の番組で、専門家やゲストを招きながらリスナーに最新の話題を届けています。