2026年7月12日〜14日、中国・海南省の三亜(サンヤ)で「2026 China AOPA Drone Soccer Challenge」が開催されました。その決勝戦の映像が、YouTubeチャンネル「Dunn Dunn Drone Soccer」で公開されています。
本記事では決勝・第1セットの動画を題材に、これからF9Aドローンサッカーの大会に出場を考えている選手、審判、そして大会運営者にとっての「見どころ」を、再生時間に沿って解説します。
中国は2025年の世界選手権優勝国。つまりこの決勝は、事実上の世界最高峰の試合です。ぜひ動画を開きながら読み進めてください。
大会概要:中国全土から120チーム以上が集結
- 大会名:2026 China AOPA Drone Soccer Challenge
- 開催期間:2026年7月12日〜14日
- 開催地:中国・海南省 三亜(Sanya)
- 参加規模:中国全土から120チーム以上(Baidu百科より)
- 主催:中国AOPA(Aircraft Owners and Pilots Association)
- 競技カテゴリー:F9A-B(ブラシレスモーター/20cm球)
主催の中国AOPAは、中国国内でドローン操縦ライセンスを発行している団体です。ライセンス発行機関がそのまま公式競技会を運営しているという構造は、日本を含む他国のドローンサッカー普及を考えるうえでも参考になるポイントでしょう。
決勝の対戦カード
- 赤チーム:Suzhou HulFelFelxing(江蘇省・蘇州のチーム)
- 青チーム:Guangxi Nanning Aviation Association(広西チワン族自治区・南寧市の航空協会チーム)
決勝戦は第3セットまで行われ、セットごとに別の動画として投稿されています。本記事で扱うのは第1セットです。
注意:この大会は「FAI F9A」そのものではない
動画には「F9A」と表記されていますが、大会名称に「FAI」「F9A」という公式名称は使われていません。FAI(国際航空連盟)のF9Aルールをベースにしつつ、中国国内の独自ルールで運営されているものと見られます。
動画から読み取れる、FAI F9Aとの主な相違点は次のとおりです。
1セット内にハーフタイムがある
前半・後半に分かれており、1セットが合計6分という構成になっています。FAI F9Aの標準的な進行とは異なります。
スコアボードにペナルティ表示がない
ゴールを誤った方向から通過した場合などのペナルティが、スコアボード上に客観的に表示されていません(表示していないだけで、実際には計測されている可能性はあります)。ペナルティショットの動画も投稿されていません。
ただし副審が4名配置されていることから、ペナルティ自体は審査されていると考えるのが自然です。
見どころタイムライン:ストライカーダウンの実例
試合はスタート直後から高速で激しい攻防が繰り広げられます。特に注目すべき場面は以下のとおりです。各見出しの時刻をクリックすると、動画のその再生位置から再生できます。
4:09 — 青チームのリボンが落ちる
青チームのストライカー機からリボンが落下し、得点できない状態になります。
ドローンサッカーでは、ゴールを通過して得点できるのはリボンを装着したストライカー機のみです。リボンが外れた時点で、選手・コーチ・審判のいずれかの判断で試合を止める必要があり、この状態は「ストライカーダウン」と呼ばれます。詳細なルールや宣言の権限は大会ごとに異なるため、出場前には必ず該当大会のルールブックを確認してください。
注目したいのは、リボンが落下している間、審判が得点を加算しなかった点です。この判断は非常に的確でした。一方で試合自体は続行されてしまったため、その間に点差は開き続けます。
5:29 — 残り42秒でようやく試合が止まる
ここでストライカーダウンが宣言されたと思われます。青チームはディフェンス1機とともにストライカー機をコートから出し、リボンを付け替えた1機だけがコートに戻されました。
ストライカーダウンが宣言されると、そのストライカー機はそのセット中は使用できません。同時に取り出したディフェンス機にリボンを装着して新たなストライカーとしますが、ディフェンス機の補充はありません。つまり青チームは、残り時間をディフェンス1機という不利な状態で戦うことになりました。
6:52 — 試合再開するがタイマーが動かない
試合が再開されたにもかかわらず、スコアボードのタイマーが再開しません。運営側の操作ミス、あるいはシステムの機能上の制約と推測されます。
7:27 — 試合終了
画面上のタイマーではなく、審判のカウントによって停止された可能性があります。第1セットの動画はここで終了しており、第3セットまで試合が続いていることから、このセットは赤チームの勝利だったと考えられます。
使用機体:4セルバッテリー搭載と推測
使用されているのは非常に機動力の高い機体です。詳細な機体情報は公開されていませんが、動きの速さから4セルバッテリーを搭載していると推測されます。
F9Aドローンサッカーを始めたばかりの方は、その速度に驚くかもしれません。しかしこれが、決勝に進むチームの標準的なレベルです。
あなたにとっての学びポイント
選手・チームマネジャーの方へ
この動画から最も学ぶべきは、リボンの装着状態の管理です。リボンが外れた瞬間から得点機会が失われ、ストライカーダウンを宣言すればディフェンス機が1機減ります。試合前のリボン固定の確認、そして「落ちたと気づいた瞬間に誰が声を上げるか」というチーム内の役割分担を、練習段階から決めておくべきです。
審判を目指す方へ
リボン落下中の得点を加算しなかった判断は、まさに審判の技術です。高速で動く機体の中から「リボンの有無」を見分ける観察力が求められます。副審4名体制という配置も、どこに人を置けば見落としが減るかのヒントになります。
大会運営者の方へ
タイマーの再開漏れは、どの大会でも起こりうるトラブルです。タイマー操作の担当者を明確にする、スコアボードが止まっていても進行できる副次的な計時手段を用意するといった備えが、そのまま自分の大会運営に活かせます。
これから競技を始めたい方へ
まずはこの動画を「速い」と感じるところから始めてください。そのうえで、単に速いだけでなく、ストライカーとディフェンスの役割が明確に分かれていること、味方の壁づくりが機能していることに注目すると、練習で何を目指すべきかが見えてきます。
まとめ
2026 China AOPA Drone Soccer Challengeの決勝戦は、世界選手権優勝国のトップレベルが体感できる貴重な映像であると同時に、ストライカーダウンという重要ルールが実際にどう運用されるかを学べる教材でもあります。
来年の世界選手権に向けて、こうした試合映像からしっかり学んでいきましょう。動画は必ずご自身の目で確認し、気づいた点をチームで共有することをおすすめします。
