米国ロングビーチで国際大会が開催
2026年10月17日(土)〜18日(日)、米国カリフォルニア州ロングビーチで 2026 Long Beach USA Drone Soccer International Cup が開催されます。主催は United States Drone Soccer、後援団体として米国の模型航空団体である Academy of Model Aeronautics(AMA) が名を連ねています。
本大会は 2026年 CIAM/FAI ドローンサッカー国際シリーズ の一戦として実施され、成績は世界ランキングに反映されます。単発のローカル大会ではなく、世界の勢力図に直接影響する公式戦という位置づけです。
大会の位置づけ ― FAIカテゴリー2とは
FAI(国際航空連盟)の公認国際大会には規模や格に応じた区分があり、本大会はカテゴリー2に分類されます。2025年に中国・上海で開催されたドローンサッカー世界選手権がカテゴリー1(最上位)であったのに対し、カテゴリー2はより小規模に開催される国際大会です。
とはいえ「小規模=価値が低い」わけではありません。カテゴリー2の大会はエントリーのハードルが比較的低く、国際大会デビューの場として、また世界ランキングのポイントを積み上げる機会として重要な役割を担っています。
参加予定国 ― 前回世界選手権より多彩な顔ぶれ
大会ページに登録されている参加予定国は以下のとおりです。
- オーストラリア(Australia)
- ブルガリア(Bulgaria)
- 中国(China)
- コロンビア(Colombia)
- スペイン(Spain)
- フランス(France)
- イギリス(Great Britain)
- ドイツ(Germany)
- 香港(Hong Kong)
- シンガポール(Singapore)
- トルコ(Turkey)
- 韓国(Korea)
2025年の上海大会と比べるとコロンビアやイギリスが新たにエントリーしており、南米・欧州を含む多様な国が集まる構成になっています。一方で、カザフスタンと日本の登録は現時点で確認できません。日本チームの参戦を期待する声もありますが、本大会は日本からの参加者がいない見込みです。
注目したい3つのルール
公開されているルールブックを読むと、これまでの国際大会と異なる特徴的な規定がいくつかあります。ここでは特に影響が大きい3点を取り上げます。
1. 男女混合チームが必須 ― FAIの大会では異例の規定
大会サイトに登録されているルールブックには、多様な男女混合チームの編成という項目があり、次のように記されています。
1セットにつき最低1人の男性パイロットと1人の女性パイロットがいないチームは、トーナメントで進む資格がありません。
これは従来のFAIのルールには存在しなかった規定です。ジェンダー平等に配慮した考え方が競技規則そのものに組み込まれた形になります。
F9Aドローンサッカーは、機体を操縦して得点する競技であり、体格差や筋力差が勝敗を左右しにくいスポーツです。実際、これまでの大会でも男女の実力差を示すデータは見当たりません。それでも競技人口は男性に大きく偏っているのが実情です。
FAIが公開している2025年ドローンサッカー世界選手権の参加者データによれば、登録選手193名のうち女性は33名(17.1%)にとどまり、男性が約83%を占めていました。さらに、この女性選手33名のうち3名を除く全員がジュニアです(全体でもジュニアが138名・71.5%と大半を占めます)。つまりシニア女性選手は世界選手権でもごくわずかしかいない、というのが現在地です。
今回の男女混合ルールは、この偏りを競技規則の側から動かそうとする試みと言えます。ジュニア世代に女性選手が育ちつつある状況を踏まえれば、競技人口の裾野を広げる施策として合理的な設計です。
2. F9A-B(20cm球)のみの開催か
大会ページに登録されているルールブックは、F9A-B(20cm級の球体ドローン)に関するものだけです。F9A-A(40cm級)のルールブックは公開されていません。
U.S. Drone Soccer が主催する大会は従来から20cm級を中心に運営されてきた経緯があるため、本大会もF9A-B単独開催となる可能性が高いと見られます。40cm級での参戦を検討しているチームは、エントリー前に主催者へ確認することをおすすめします。
3. ペナルティショットは「相殺」して実施
適用されるルールブックには、ペナルティショットの処理方法が明確に定義されています。
両チームのペナルティは相殺され、残りのペナルティショットのみが行われます。たとえば、赤チームが3つのペナルティ、青チームが2つのペナルティを持っている場合、ペナルティは相殺され、赤チームには1つのペナルティのみが残ります(3 − 2 = 1)。
2025年の上海大会で使用されたルールブックではこの計算方法が明確ではなく、ペナルティショットの実施に多くの時間を要して進行が混乱する場面がありました。本大会では U.S. Drone Soccer のルールが適用され、この曖昧さが解消されます。試合時間の短縮と進行の安定に直結する、実務的に大きな変更点です。
選手・チームマネジャーへの影響
これらのルールは、参加チームの準備内容を実際に変えるものです。
- 選手にとって:1セットごとに男女それぞれ最低1人が必要になるため、特定のポジションを1人に依存しない練習体制が求められます。ストライカー役・ディフェンダー役を複数人が担えるようにしておくと、当日の編成が安定します。
- チームマネジャーにとって:メンバー構成が資格要件そのものになります。機体トラブルや体調不良で1人欠けただけでトーナメント進出資格を失うおそれがあるため、予備の選手・予備機体・スペアパーツの用意はこれまで以上に重要です。
- これから競技を始める人にとって:男女混合が要件になるということは、女性パイロットにとって国際大会の門戸が実質的に広がるということでもあります。チーム立ち上げの段階から多様なメンバーを集めておくことが、そのまま国際大会への近道になります。
- 大会運営者にとって:ペナルティの相殺方式は、進行の遅延を減らす実践的な仕組みです。国内大会のレギュレーションを検討する際の参考になるでしょう。
これらのルールがもたらすもの
男女混合チームの編成は、チームによっては実現が簡単ではないかもしれません。模型航空機を用いたスポーツの多くが男性中心に発展してきた歴史を踏まえると、今回の規定はきわめて異例です。しかし、ドローンサッカーは男女の差が結果に表れにくい競技であり、大きな問題にはならないと考えられます。むしろ今後の選手人口を増やすうえで適切なルールと言えるのではないでしょうか。
また、上海大会で不明瞭だったペナルティショットの扱いが明文化された点も、今後の国際大会のルール整備に影響を与える可能性があります。
とはいえ、参加する選手・チーム関係者は、当日のルール説明を受けたうえで事前に自分たちでルールブックを読み込んでおくことが欠かせません。資格要件に関わる規定は、当日になってからでは対応できないためです。
まとめ
- 2026 Long Beach USA Drone Soccer International Cup は2026年10月17〜18日、米国ロングビーチで開催
- FAIカテゴリー2の国際大会で、結果は世界ランキングに反映される
- 1セットにつき男性・女性パイロット各1名以上が必須という、FAI F9Aの大会では前例のない規定を導入(2025年世界選手権の女性選手比率は17.1%)
- 公開されているルールブックはF9A-B(20cm球)のみ
- ペナルティショットは両チーム分を相殺して実施され、進行の混乱が解消される見込み
