ドローンサッカーのシミュレーターが、また一つ増えました。米国のTrash Panda Studiosが開発中のドローンサッカーシミュレーターです。2026年8月時点でまだバージョン0.0.3という早期のリリースで、機能も動作も発展途上です。
しかし「まだ荒削りだから」と黙って離れてしまうのは、実にもったいない話です。開発初期こそ、ユーザーの声が仕様に反映されやすいタイミングだからです。この記事では、実際に筆者が送ったEdgeTX送信機のHID対応リクエストを例に、フィードバックの送り方と「開発者に届く書き方」を紹介します。
Trash Panda Studios のドローンサッカーシミュレーターとは
Trash Panda Studios は、物理演算とマルチプレイを得意とする小規模な開発スタジオです。
同スタジオが現在制作しているのが、ドローンサッカー(球体ドローンでゴールをくぐり抜ける競技)をPC上で再現したシミュレーターです。
実機を飛ばせない日でも操縦感覚を維持でき、機体を壊す心配もないため、練習ツールとしての期待できます。
ただし、繰り返しになりますが開発途中です。
裏を返せば、いま送った要望が、正式リリース版の仕様に組み込まれる可能性があるということです。
正式な発売は秋頃とされていますが、まだ未定です。このチャンスにどんどん要望を出しておきましょう。
フィードバックの送り方(基本手順)
シミュレーターを起動すると、画面内にフィードバックボタンがあります。
ここから開発元の入力フォームへ移動できます。

フォームは以下の項目で構成されています。
- CATEGORY(カテゴリー)
- SUBJECT(件名)
- DESCRIPTION(詳細な説明)
- CONTACT INFORMATION(連絡先情報・任意)
開発元は米国のスタジオなので、英語で書いた方が確実に伝わります。
英語に自信がなくても問題ありません。
日本語で書きたいことを箇条書きにして、Google翻訳や生成AIで英訳すれば十分通用します。
1. CATEGORY を選ぶ
選択肢は次の3つです。
- Bug Report(バグ報告)
- Feature Request(機能追加の要望)
- General Feedback(一般的な意見・感想)
今回は「送信機を認識してほしい」という機能追加の要望なので、Feature Request を選びます。
2. SUBJECT に件名を入れる
件名は短く、要点だけで構いません。「EdgeTXのHID Interfaceに対応してください」を英訳すると Please support the EdgeTX HID interface となるので、これをそのまま入力します。
3. DESCRIPTION を書き込む
ここが最も重要な欄です。日本語で内容を整理してから英訳しましょう。筆者が最初に用意した原文は次のようなものでした。
私が持っている送信機EdgeTXをUSB接続してもドローンサッカーシミュレーターが認識してくれないので使えません。他のドローンサッカーゲーム(FPV SkyDive)ではUSBを送信機とつなぐだけで認識されるのに、Trash Panda Studios のドローンサッカーシミュレーターは認識してくれないので練習できません。機能の追加をお願いします。
4. CONTACT INFORMATION は任意
連絡先は空欄でも送信できます。ただし開発元から詳細を聞かれたときに返答したい場合や、テストビルドを試したい場合は入力しておくことをおすすめします。実装するかどうか迷っている開発者にとって、「反応してくれる人がいる」という事実は大きな判断材料になります。
5. SUBMIT FEEDBACK を押す
入力内容を確認したら送信ボタンを押して完了です。

開発者に反映されやすくする6つのコツ
ここからが本題です。同じ内容でも、書き方次第で「対応される要望」と「埋もれる要望」に分かれます。
余裕があれば次の観点を押さえてください。
① カテゴリは Feature Request にする
「認識しない」を Bug Report として送ると、「仕様です」の一言でクローズされがちです。
機能要望として出した方が開発ロードマップに乗りやすくなります。
② 「動く前例」を示す
これが最強の材料です。FPV SkyDive では同じ送信機がUSBを挿すだけで認識される——この事実は「他社にできている=技術的に実装可能」という何よりの証明になります。
「できませんか?」ではなく「あちらではできています」と書きましょう。
③ 技術的な当たりをつけて渡す
EdgeTXはUSB Joystickモードで標準的なHIDゲームパッドとして認識される仕組みです。
ゲーム側が認識しない原因の多くは、入力処理がXInput(Xboxコントローラー向けの規格)にのみ対応していて、DirectInputや汎用HIDデバイスを列挙していないことにあります。
ここまで書いておくと、開発者の調査コストが激減します。
④ 環境情報を具体的に書く
送信機の機種、EdgeTXのバージョン、OS、シミュレーターのバージョン。これがないと開発者は再現できず、そのまま放置されます。筆者の場合は次のとおりです。
- Transmitter: Jumper T-Pro V2
- EdgeTX version: 2.9.0(self-build)
- USB mode: USB Joystick (HID)
- OS: Windows 11
- Simulator version: 0.0.3
⑤ 要望を最小単位に絞る
「送信機に対応してください」では漠然としすぎています。「汎用HID/DirectInputデバイスの列挙」と「軸の手動割り当てUI」のように分解して書くと、実装規模が見積もれるので通りやすくなります。
⑥ テスト協力を申し出る
「ベータビルドを試して結果を報告します」の一文を添えましょう。手元に実機がない開発者にとって、テスターの存在は実装に踏み切る動機そのものです。
実際に送信した英文の全文
上記の6点を反映させた最終版が以下です。コピーして、機種名やバージョンをご自身の環境に置き換えれば、そのまま使えます。
Subject:
Please support the EdgeTX HID interface
Description:
I own an EdgeTX-based radio transmitter and would like to use it with your drone soccer simulator, but the simulator does not detect it at all when connected via USB. EdgeTX transmitters have a "USB Joystick (HID)" mode, in which they enumerate as a standard HID gamepad. Other drone soccer / FPV titles - FPV Skydive, for example - detect my transmitter immediately after plugging in the USB cable, with no extra setup. Your simulator does not, so I currently have no way to practice with my actual radio. My guess is that the input layer only enumerates XInput devices. EdgeTX in HID mode is exposed as a generic DirectInput/HID device, so an XInput-only implementation will never see it. What I would like: - Enumerate generic HID / DirectInput gamepads, not only XInput devices - A manual axis-mapping screen (assign roll / pitch / throttle / yaw to detected axes, with invert and endpoint options) My setup: - Transmitter: Jumper T-Pro V2 - EdgeTX version: 2.9.0 (self-build) - USB mode: USB Joystick (HID) - OS: Windows 11 - Simulator version: 0.0.3 Since the transmitter is the only controller that matters for realistic drone soccer practice, this would make a huge difference. I am happy to test any beta build and report results. Thank you for your work on this simulator.
なぜ、あなたが送るべきなのか
ドローンサッカーのシミュレーターは、実機を飛ばせない環境の選手にとって貴重な練習手段です。しかしゲームパッドでしか操作できないシミュレーターは、練習ツールとしての価値が大きく下がります。
本番で握るのは送信機のスティックであり、そこに指の感覚を作り込むことこそが練習だからです。
だからこそ、EdgeTXをはじめとする送信機のHID対応は、日本のプレイヤーにとって死活的な機能です。
そして開発者は、要望が届かなければ「需要がない」と判断します。
沈黙は「不要」と同義に受け取られます。
英語が完璧である必要はまったくありません。機種名とバージョンを書き、「他のソフトでは動く」と伝えるだけでも、開発者にとっては十分な情報です。1件より10件、10件より100件。声の数が優先順位を決めます。
まとめ
- Trash Panda Studios のドローンサッカーシミュレーターは開発初期のため、いまの要望が仕様に反映されやすい
- カテゴリは Feature Request を選び、他ソフトで動く前例と環境情報を必ず添える
- 技術的な原因の推測(XInputのみ対応の可能性)まで書くと、対応の確率が上がる
- 英語はGoogle翻訳や生成AIで十分。完璧さより送ることが重要
フィードバックを送ったら、ぜひFlight Ball Information Hub のフォーラムでも共有してください。同じ要望が複数のプレイヤーから届いていることが分かれば、開発元にとっての優先度はさらに上がります。
