2017年に韓国で誕生したドローンサッカーは、わずか数年で国際的な競技へと発展しました。 現在では主にFIDA(国際ドローンサッカー連盟)と、 FAI(国際航空連盟)という二つの枠組みで世界展開が進められています。 本記事では、その発展の経緯と両団体の違いを整理します。
FIDAの設立と競技展開
ドローンサッカー発祥の地・韓国を拠点とするFIDA (Federation of International Dronesoccer Association)は、 公式情報によると2022年設立とされています。
2017年の競技誕生から数年間は、韓国主導で国内外の普及活動や国際大会が行われ、 その流れを組織的に統括する形でFIDAが設立されました。 現在はワールドカップ形式の国際大会を開催し、 独自ルールによる世界的な競技展開を進めています。
FAIによるF9Aクラスの承認
一方、航空スポーツの国際統括団体であるFAI(Fédération Aéronautique Internationale)は、 2019年にドローンサッカーを「F9A」として暫定クラスに承認しました。
その後、暫定ルールの運用期間を経て、 2025年には正式ルールがFAIスポーティングコードに収録されました。 これは、ドローンサッカーがエアスポーツの一競技として 公式に制度化されたことを意味します。
2025年には、FIDAとFAIの双方がそれぞれ世界大会を開催しており、 この年を一つの節目として、 ドローンサッカーが本格的な「国際競技」として確立したと見ることができます。
共通のルーツと異なる競技体系
両団体は2017年に誕生したドローンサッカーをルーツとしていますが、 現在は異なるルール体系を採用しています。
40cmクラス:Class40(FIDA)とF9A-A(FAI)
40cm球体を使用するクラスは、 FIDAでは「Class40」、 FAIでは「F9A-A(サブクラスA)」と呼ばれます。
外見や基本構造は類似していますが、 機体仕様や技術規定には差異があります。
特にFAI F9A-Aでは、バッテリー仕様などの自由度が比較的高く、 規定の範囲内で自作や改良が可能です。 そのため、
- メーカー間の技術競争
- チーム独自開発
- 選手による機体設計・改良
といった活動が促進され、 技術産業の発展やSTEM教育への波及効果も期待されています。
20cmクラス:Class20(FIDA)とF9A-B(FAI)
20cm球体クラスでは、両団体の違いがより明確です。
FIDA Class20
- 韓国camtik社製「Skykick」のみ使用可能
- ブラシモーター機
- 1チーム5機で試合
特定機体による統一仕様で、導入や運営の標準化が図られています。
FAI F9A-B(サブクラスB)
- 規定を満たせば自作可能
- 主にブラシレスモーター機
- 1チーム3機で試合
ブラシレス機による高出力・高速展開が特徴で、 よりスピード感のある試合が展開されます。 競技性や技術開発の幅という点で、 FIDAとは異なるアプローチを取っています。
10cmクラス:F9A-Cの動向
FAIでは10cm機体のサブクラスとして「F9A-C」が検討されています。
F9A-Bとは異なり、ブラシモーター機を前提とし、 より低学年層や初心者が参加しやすい設計思想となっています。
2026年2月時点では正式サブクラスではありませんが、 中国など一部地域では採用例が見られます。 今後の正式承認と国際展開が注目されています。
イベント主催者・選手が考えるべきポイント
現在のドローンサッカーは、
- FIDA系統の競技体系
- FAI系統のF9A競技体系
という二軸で発展しています。
イベント開催を検討する場合は、
- どの団体のルールを採用するのか
- 機体の自由度をどう考えるか
- 教育的価値と競技性のどちらを重視するか
といった観点を整理することが重要です。
2017年に始まった一つのスポーツは、 現在、複数の国際的枠組みの中で進化を続けています。 その違いを正確に理解することが、 選手にとっても主催者にとっても、 次の展開を考える上で不可欠といえるでしょう。
