ドローンサッカーの機体づくりで、意外と奥が深いのがプロペラ選びです。中国のプロペラメーカーGemfan(ジェムファン)は、2026年10月に韓国・ソウルで開催された「ソウル国際ドローンレーシングワールドカップ」の参戦レポートの中で、同社のプロペラがドローンレースだけでなくドローンサッカーを含む多様なドローンスポーツを支えていることを紹介しています。同大会では日中韓ドローンサッカーオープン国際カップも併催されました。
本記事では、Gemfanのドローンサッカー向けプロペラ「DYHシリーズ」を例に、FAI F9A-Bで使うプロペラの読み方と選び方を解説します。
そもそもFAI F9Aとは
F9Aは、国際航空連盟(FAI)が定めるドローンサッカーの競技規則(スポーティングコード)です。FAIはオリンピック・ムーブメントに加盟する航空スポーツの国際統括団体で、ドローンサッカーのほかにもFPVドローンレース(F9U)やラジコン飛行機の競技などを取りまとめています。
F9Aには球体ケージの直径40cmのF9A-Aと、直径20cmのF9A-Bの2つのサブクラスがあります。日本でも普及が進んでいる20cmブラシレス機の試合はF9A-Bにあたります。
F9Aドローンサッカーはプロペラを「選べる」
F9Aの面白さのひとつは、規定の範囲内であればプロペラの形状・サイズ・ピッチを自由に選べる点です。プロペラは機体の瞬発力や飛行時間に大きく影響するため、選手は自分のプレースタイルやポジションに合わせて最適な一枚を探すことになります。
また、特定メーカーの部品に限定されないのもF9Aの特徴です。Gemfanはあくまで一例で、さまざまなメーカーの製品を試して比べることができます。
Gemfan DYHシリーズのラインナップと型番の読み方
GemfanはF9A-B向けに、DYH 2828、DYH 2826、DYH 3024、DYH 3026、DYH 3029など複数の3枚翼プロペラを展開しています。
型番の4桁の数字は、前半2桁が直径(長さ)、後半2桁がピッチを表し、どちらもインチ単位(小数点を省略)です。ピッチとは、プロペラが1回転したときに理論上進む距離のことです。
- DYH 2826:直径 2.8インチ/ピッチ 2.6インチ Amazonで見る
- DYH 2828:直径 2.8インチ/ピッチ 2.8インチ
- DYH 3024:直径 3.0インチ/ピッチ 2.4インチ Amazonで見る
- DYH 3026:直径 3.0インチ/ピッチ 2.6インチ Amazonで見る
- DYH 3029:直径 3.0インチ/ピッチ 2.9インチ
たとえばDYH 2828は直径2.8インチ・ピッチ2.8インチ、DYH 3029は直径3インチ・ピッチ2.9インチという意味になります。
なぜ最大3インチなのか ― F9A-Bの機体規定
ラインナップが3インチで止まっているのは、FAIのルールブック(Sporting Code Volume F9 Drone Sports 2026年版 B.1.3)でF9A-Bのプロペラ直径は最大3インチ(7.6cm)と定められているためです。なお、F9A-Aは最大6インチで、どちらのクラスでも金属製プロペラは禁止されています。
F9A-Bの主な機体規定は次のとおりです。
- 球体保護フレームの直径:20cm(+2cmまで)
- 総重量:バッテリー込みで300g以下
- モーター:電動のみ・最大4基
- バッテリー:最大4S
- プロペラ:直径最大3インチ・金属製禁止
長いプロペラと短いプロペラはどう違う?
同じ3枚翼でも、わずか0.2インチの直径差が機体の挙動を変えます。20cmクラスのF9A-B機はモーターが非常に高い回転数で回っているため、小さな違いでも体感しやすいのです。
長いプロペラ(3.0インチ)
- 一度にたくさんの空気を押し下げられるため、同じ推力をより低い回転数で得られ、ホバリングの効率(燃費)が良くなりやすい。
- 一方でプロペラが重く大きくなる分、回転の慣性(慣性モーメント)が大きく、回転数をすばやく上げ下げするのが苦手。急加速・急停止・素早い方向転換の反応がやや鈍くなる。
短いプロペラ(2.8インチ)
- 回転の慣性が小さく、スロットル操作への反応が機敏になりやすい。
- 同じ推力を得るには回転数を上げる必要があるため、バッテリーの消費が増えやすい。
ピッチの違いも見逃せない
ピッチが大きいプロペラは、1回転あたりにより多くの空気を送り出すため、推力やスピードを出しやすい反面、モーターへの負荷と電流が増え、飛行時間が短くなる傾向があります。ピッチが小さいと推力はマイルドになりますが、細かいコントロールがしやすく、効率も良くなりやすいのが特徴です。
同じ3インチでも、DYH 3024・3026・3029ではキャラクターが変わります。直径とピッチの組み合わせで、機体の性格を作り込めるのです。
ポジション別・プロペラ選びの目安
あくまで考え方の目安ですが、ポジションごとに求められる性能から逆算すると選びやすくなります。
- ストライカー(得点役):急加速・急停止・素早い方向転換が重要。反応の良さを重視し、短めの直径やピッチの組み合わせを試す価値があります。たとえばGemfan 2826(2.8インチ)は候補のひとつです。
- ディフェンダー・キーパー:ゴール前での安定したホバリングや当たり負けしない力強さが重要。効率と推力のバランスを重視し、3インチ系から試すのがおすすめです。Gemfan 3024やGemfan 3026を比べてみるとよいでしょう。
実際の最適解は、モーター(KV値)、バッテリー、機体重量、そして選手の操縦スタイルによって変わります。最終的には実際に飛ばして比べることが一番の近道です。
プロペラ選びはSTEM教育そのもの
「なぜこのプロペラだと速く動けるのか」「なぜ飛行時間が短くなったのか」――プロペラを交換して試すたびに、揚力・推力・慣性・エネルギー効率といった物理の考え方を体験的に学べます。トライ&エラーを通じて考える力が育つことは、F9AドローンサッカーがSTEM教育に適している大きな理由のひとつです。
Amazonで購入できるGemfanプロペラ
本記事で紹介したサイズのGemfanプロペラの一部は、同等品をAmazonでも購入できます。直径やピッチの違いを体感するなら、2〜3種類をまとめて揃えて飛ばし比べるのがおすすめです。
Gemfan 2826 プロペラ
- サイズ:直径2.8インチ/ピッチ2.6インチ
- おすすめ:反応の良さを求めるストライカー。商品名に「ドローンサッカー」と入っており、競技用として探しやすい商品です。
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Gemfan 3024 プロペラ
- サイズ:直径3.0インチ/ピッチ2.4インチ
- おすすめ:効率と扱いやすさを重視したい人、飛行時間を確保したいディフェンダー。
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Gemfan 3026 3枚翼プロペラ
- サイズ:直径3.0インチ/ピッチ2.6インチ
- おすすめ:3インチ系で推力とのバランスを取りたい人。商品画像にF9Aドローンサッカーの機体が掲載されており、使用イメージがつかみやすい商品です。
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※購入前に、お使いのモーターのシャフト径とプロペラの取り付け穴(ハブ径)が合っているか、商品ページで必ず確認してください。
まとめ
- F9A-Bのプロペラは直径最大3インチ(FAI Volume F9 2026年版 B.1.3)。
- Gemfan DYHシリーズの型番は前半2桁が直径、後半2桁がピッチ。
- 長いプロペラは効率重視、短いプロペラは反応重視。ピッチでも性格が変わる。
- メーカーを問わず、2〜3種類を用意して実際に比べてみるのが上達への近道です。
チームで同じ機体に異なるプロペラを付けて飛ばし比べてみるのもおすすめです。ぜひ、自分だけのセッティングを見つけてください。
参照リンク
- Gemfan:2026 Seoul Drone Racing World Cup 参戦レポート(英語)
- FAI Sporting Code Volume F9 Drone Sports 2026年版(PDF・英語)
- FAI:Drone Soccer 公式ページ(英語)
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