2025年11月にFAI F9Aの初の世界選手権(2025FAI WDSC)が上海で開催されましたが、
中華人民共和国は規模を小さくしながらも2026年も国際大会を開催する計画があるようです。
中国スポーツ総局 航空無線模型スポーツ管理センターのサイトに次の記事が掲載されています。
2026年 ドローンサッカー国際オープン大会 招致公告
https://www.sport.gov.cn/hgzx/n14912/n14914/n14921/c29266977/content.html
この告知によると、大会開催地等を申請したい組織・団体向けの申請要項とわかります。
ここから紐解くと、国際大会開催にどのようなスタッフ、設備が必要か推定することができます。
国際ドローンサッカー大会を開催するための必要条件分析
この記事では、2026年に中国で開催予定の「无人机足球国际公开赛(国際無人機サッカーオープン大会)」の 申込要件から抽出した国際大会開催に不可欠な会場設備・スタッフ体制・運営上の必要項目を整理しました。これらは大会主催・運営を検討する団体・自治体・施設管理者、あるいはドローンサッカー大会の企画担当者にとって有用なチェックリストとして活用できます。
掲載されているのはFAI カテゴリー2 (Cat 2)の大会
2025 FAI WDSCではカテゴリー1(Cat 1)でした。今回掲載されている内容はカテゴリー2(Cat 2)です。
カテゴリー1と2には次のような違いがあります。
- Cat1 : 世界選手権、大陸選手権など、FAIが直接承認・管理する主要な国際選手権。
FAIが直接管理し、多国籍の役員によって構成される。
出場選手は各国を代表する。 - Cat2 : 世界選手権などではない、その他の国際競技会。
各国の航空スポーツ統括団体 (NAC) の承認または許可に基づいて開催される。
他国のパイロット向けに、最大定員の最低25%の枠を確保する必要があるなど、一定の国際的な参加要件がある。
要約すると、カテゴリー1はFAIが主催する最高レベルの公式国際選手権であり、
カテゴリー2は各国統括団体が主催する、より広範な国際競技会です。
今回の募集はCat2なので2025 FAI WDSCに比べると小規模となります。
なお、FAIスポーティングライセンスは、どちらのカテゴリーの国際競技会に参加する場合にも必要となります。
それではどんな要件でCat2の募集がされているか見てみましょう。
1. 会場設備・物理的インフラ
国際大会を開催するには、競技環境と選手・観客・運営スタッフのニーズを同時に満たす設備が必要です。
以下は申請要件から整理した主要な項目です。
室内競技エリアの規模
- 室内競技専用エリアの面積が800平方メートル以上必要。
- 競技エリア以外に、選手用の待機・休憩スペースを含む総合エリアが1000平方メートル以上必要。
この規模に似た日本国内施設はどんなところがあるでしょうか。
日本国内でCat2国際ドローンサッカー大会が開ける可能性のある施設(候補一覧)
国際大会の会場としては、競技エリア(約800㎡以上)+選手・運営・観客動線を含めた総面積1,000㎡以上の屋内スペースが必須です。この条件を満たす可能性のある代表的な施設を、AI検索で都道府県別にピックアップしました。
北海道・東北
- カメイアリーナ仙台(宮城) — 大型アリーナでバスケットボール等国際試合開催実績あり。競技スペース確保に十分な屋内床面積。
- 雄物川体育館(秋田) — 約1,400㎡のメインアリーナを有する市立体育館で、中規模大会なら適合。
関東・甲信越
- 千葉ポートアリーナ(千葉) — メインアリーナ約2,730㎡。競技エリア+周辺帯の確保に十分な広さ。
- グリーンドーム前橋(群馬) — 多目的アリーナで展示・スポーツ用途に使われる大規模スペース。屋内面積も十分。
中部・北陸
- (※候補施設例 — 各県総合体育館・市立アリーナ) — 名古屋市体育館、静岡県立体育館、新潟市スポーツセンター等は大規模屋内スペースを有する。
関西
- 大阪府立体育会館(エディオンアリーナ大阪) — 大型屋内競技対応。イベント併設・観客席等も整備可能。
- 京都市体育館(等規模の体育館) — 関西圏で広く利用されている体育施設。競技スペースの確保に向く。
中国・四国
- アスティとくしま(徳島) — 多目的ホール3000㎡超あり、大型大会・展示会にも対応可能。
- 広島サンプラザ等(広島) — 展示会・スポーツイベント向け大型ホールとして利用実績。
九州・沖縄
- 福岡国際センター(福岡) — 大型屋内展示・スポーツイベント会場で、十分な床面積を持つ。
- 沖縄コンベンションセンター — 多目的ホールを有し、ドローンスポーツとの複合利用が可能。
このように地方都市の「そこそこ」の大きさで十分な大会となりそうです。
とはいえ、規模によっては1日数百万円単位で費用が掛かりそうですね。
冒頭の募集要項に戻って、その他の項目を見てみましょう。
電力・通信インフラ
- 十分な電力供給:大会運営と機材稼働のために最低80KW程度の電力容量が必須。
- 競技システムや配信設備等を支える高速・安定した電力インフラ。
観客・サポート施設
- 観客席・選手エリア・運営エリア共に300人以上を収容できるスペース。
- 観客導線を確保する通路・休憩スペース。衛生設備・応急対応設備も完備。
- 消防・救急・トイレ・換気など安全管理基準に準拠した設計。
2. 競技機材・運営機器
会場設備に加えて、実際の競技運営に必要な機材やシステムも大会成功には不可欠です。
- 公式競技機材:FAI(国際航空連盟)モデル委員会が要求する標準に準拠したドローン、審判機材。
- 競技管理システム:試合進行管理・スコアリング・時間管理・ライブデータの収集を行うソフトウェア・ハードウェア。
- ライブ配信・映像機材:国際大会としての競技中継・解説・リプレイ機能などを備えた映像機器。
- 運営オフィス用品:受付、審判団、運営スタッフ向けのPA(公共アドレス)システム、印刷物、通信機器など。
Youtubeなどのネットメディアで配信する技術が求められます。
また、得点管理や競技の管理も重要です。
フランスのSMRが競技管理システムを構築していましたね。
3. 人員体制
大会運営では専任のスタッフと専門性の高い人材が活動を支えます。申請要件から整理した人員体制のポイントは次の通りです。
審判・技術スタッフ
- FAIモデル委員会による国際基準の審判員。
- 裁判・技術スタッフだけでなく後方支援と補助スタッフで50名以上の運営体制。
2025 FAI WDSCでもボランティアスタッフ(主に学生)が50名以上は配置されていました。
医師や看護師の配置もありました。
医療・安全スタッフ
- 専門の救護・救急対応スタッフ。
- 安全保安・危機管理担当者、緊急時の対応計画と連携体制。
ドローンによる怪我だけでなく、急病患者の初期対応などが必要になる可能性もあります。
組織運営チーム
- 競技運営スタッフ、受付・案内担当、技術支援、会場管理。
- 英語等の外国語での接客・案内業務が可能なスタッフ(国際大会対応)。
- イベント運営・広報スタッフ、ライブ配信・解説要員など。
Cat2は外国選手も出場するため、特に英語が堪能なスタッフはたくさん必要とされます。
ちなみにFAIの試合そのものは英語で行われますが、各国から選手が集まった場合
コミュニケーションが十分に取れるよう通訳を配置する必要もあります。
4. 組織基盤・経費確保
大会の実行力を担保するため、会場・スタッフ・機材だけでなく、組織基盤と予算確保も重要です。次の要素が不可欠です。
- 法人格を有する団体として大会開催権を申請できること(独立して民事責任を負える組織)。
- 大会開催に必要な全ての経費の確保・予算計画の提示。
- 大会運営計画・安全保衛計画・広報戦略を含む申請書類一式の整備。
- 公衆責任保険と人員向け安全保険の手配。これにより事故や損害に対するリスク管理を行うことが必須。
必要な費用はいくら?
おそらく次の金額は資金集めが必要となるでしょう。
- 海外招致・適正設備・中規模配信:3,000万〜6,000万円程度
- プロ配信・大規模観客・海外招致・フル機材:6,000万〜1億円以上
つまり主催者はかなりの資金集めが必要です。
日本国内開催の難しさ
日本では中国や韓国ほどドローンサッカーが普及していません。
まず選手人口が少ないことが国際大会開催を難しくしています。
2025 FAI WDSCでは多数の企業がブースを構え出展していました。
ドローンサッカーやドローン関連企業以外にAI関連企業など幅広く出展し、協賛していました。
大会開催にはこのような企業が多くの出展費用を負担していることで
成り立っていると思われます。
しかしこれには国内にドローン関連企業が多く存在する必要があります。
中国には多くのドローンメーカーや関連企業が存在しているため
大規模の大会が開催しやすいと考えられます。
一方、日本ではそのような企業は少なく、大きな規模の開催を難しくしている要因でもあります。
まとめ:国際大会成功に向けた要点
国際ドローンサッカー大会を開催するためには、単なる会場レンタルではなく、以下の条件を満たす必要があります:
- 十分な物理的インフラと電力・通信設備
- 競技用機材・システムの標準化と拡張性
- 充実したスタッフ体制(審判・運営・救護・語学対応)
- 組織としての体制・財務基盤と安全・保険体制
これらを満たすことで、競技者・観客・協賛・メディアからの信頼を得られる国際レベルの大会運営が可能になります。
今後、国際ドローンサッカーの普及や地域イベントとしての発展をめざす読者の方々にとって、この記事が企画・申請準備の参考になれば幸いです。
