韓国が国費でドローンサッカーVARを開発へ ― 競技運営と産業戦略の両面から見る新たな動き
韓国・全羅北道(전라북도)の地方新聞社 전북중앙신문(全北中央新聞) によると、ドローンサッカー発祥国である韓国では、国費を投じた新たな取り組みが進められています。
報道によれば、全州市はドローンサッカーの試合判定を補助するVAR(ビデオ判定システム)の開発を進める計画です。 これは単なるスポーツ支援ではなく、競技運営の高度化と産業化の両面を狙ったプロジェクトと見ることもできます。
展開が速すぎるドローンサッカーの試合
ドローンサッカーは、非常にスピード感のある競技です。 球体ドローンが高速でフィールドを飛び交い、攻守が瞬時に入れ替わります。
公式試合は通常3分×3セットで構成されますが、大会ではこの試合が連続して行われます。 大規模大会では1日に数十試合が実施されることも珍しくありません。
このような状況では、審判には極めて高い集中力と判断力が求められます。 しかし次のような場面では、人間の目だけで正確な判定を行うことが難しくなります。
- 球体ドローン同士の接触や衝突
- ゴールリング通過の瞬間
- 攻撃ドローンとディフェンスの接触プレー
- 反則の発生タイミング
この課題を解決するために期待されているのが、映像を利用した判定補助システムです。
VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)とは
VARとはVideo Assistant Referee(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の略称で、 映像を用いて審判の判定を補助するシステムです。
すでに多くのスポーツで導入されていますが、競技ごとに運用方法が異なります。
- サッカーのVAR
すべてのプレーを常時監視し、重大な判定に関わる場合に主審へレビューを提案する。 - 野球のビデオ判定
チームがリクエストした場合にのみ審判が映像確認を行う「チャレンジ制度」が中心。
ドローンサッカーの場合、試合展開の速さを考えると すべてのプレーを常時チェックする方式が適している可能性があります。
全州市が「ドローン実証都市事業」に採択
全州市はこれまでドローンサッカーワールドカップの開催などを通じて、 ドローンスポーツの拠点として活動してきました。
今回、全州市は「2026年ドローン実証都市構築事業」レジャースポーツ分野に最終選定されています。 この国家プロジェクトの予算を活用し、ドローンサッカー向けのVARシステムが構築される予定です。
投入される予算は約1億5,000万ウォン。 2026年3月時点のレートでは約1,600万円に相当します。
このシステムが完成すれば、審判の判定を映像で裏付けることができ、 大会運営の透明性と公平性が向上する可能性があります。
VAR導入が大会運営にもたらすメリット
もしドローンサッカーにVARが本格導入されれば、大会運営には次のようなメリットが考えられます。
- 判定トラブルの減少
- 審判の負担軽減
- 大会運営の信頼性向上
- 配信映像と連動した観戦体験の向上
特に国際大会では、判定の公平性が競技の信頼性に直結します。 そのためVARの導入は、競技の国際化を進めるうえでも重要な要素となるでしょう。
機材ビジネスとしてのドローンサッカー
ドローンサッカーは単なるスポーツではなく、機材産業とも密接に結びついています。
現在、球体ドローンの多くは韓国企業CAMTEC社が製造しています。
国際組織FIDAの支部は、これらの機体を導入することで競技を運営しています。 一般的な流れは次のような構造です。
- CAMTEC社が機体を製造
- 各国のFIDA支部が購入
- 国内チームや選手が機材を導入
この構造により、競技の普及とともに機材市場も拡大していく仕組みになっています。
VARシステムも新たな製品になる可能性
もしドローンサッカーVARが公式競技の標準設備となれば、 新しい機材カテゴリーとして世界の大会に広がる可能性があります。
その場合、各国の支部や大会主催者がシステムを導入する必要が生まれるかもしれません。
つまりVARは、競技運営を支える技術であると同時に、 新しいドローンスポーツ関連ビジネスになる可能性もあります。
韓国が国費を投じる背景
今回の取り組みは、韓国国内のスポーツ振興だけを目的としているわけではないと考えられます。
ドローンサッカーはすでに世界各国に広がっており、 機体や関連機材の市場も拡大しています。
つまり韓国にとってドローンサッカーは スポーツとドローン産業を組み合わせた輸出ビジネスとしての側面も持っています。
VARシステムの開発も、競技運営の高度化と同時に、 韓国主導のドローンスポーツエコシステムを強化する狙いがあると見ることができます。
日本のドローンサッカー運営者が注目すべきポイント
今回のニュースは、日本のドローンサッカー選手やチーム運営者にとっても重要な示唆があります。
- 競技運営のDX(デジタル化)が進む可能性
- VAR導入による大会ルールの変化
- 新しい機材の導入コスト
- 国際大会の運営基準の変化
ドローンサッカーはまだ新しい競技ですが、 国や自治体が関与することでスポーツと産業の両面から急速に発展しているのが特徴です。
今回の韓国の動きは、今後の国際大会や競技運営の方向性を考えるうえで 非常に興味深い事例と言えるでしょう。
